COM計画研究所は、道路から広場、建築、そして自然と文化等を一体として捉え、生活環境として、住民の手によるまちづくりとして育むことをめざしています。

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2016.2.19

【コラム2】「勘違い」が多すぎたまちづくり―理念と方法の確かさを

カテゴリー:COMからのお知らせ, まちづくりフロンティア

「花いっぱい運動」は手軽な「まちづくり」として全国で見られる。プラスチック製のフラワーポットと一年草の花と園芸土が行政から町内会などに配られ、ワンシーズン花で街角が飾られることになる。そのこと自体は、やらないよりはやった方が良さそうだ。
でも私は、いろんなところでガーデニングの集まりをもったら、開口一番「花いっぱい運動はやりません」と言うことにしている。そうでないと続かないからである。

何が続かないのか。

植物のことや季節、日光、土、水など、花を植え育てるための基本を何も知らないまま花が配られても、2、3ヶ月もすれば無残な状態になってしまう。せめて月に1回くらい花の好きな人が集まり、ガーデニングサロンのような機会をもつ。そのうちに先輩格の人が初心者に教えたり、株を分け合ったりする関係が生まれる。

また、ガーデニングの良さはただ花を見るというだけでなく、ハーブ類を育てれば香りや実を楽しんだり、ハーブティや料理、リースなど暮らしを彩ることにつながる。そんなことも共に学ぶことで知ることができる。
小さな水盤を使ってミニビオトープをつくると、メダカやタニシ、そしてヤゴがトンボに成長していく生き物の姿にふれることができる。やがて視点は、子どもの育つ環境やまちの景観のあり方にも移っていく。何気なく見過ごしていた軒下や道端の空地に、草花や木を取り入れることで、自分もまわりの人たちも日々心が癒させるという思いが生まれる。子どもが思いやりをもち、感性豊かに育っていくためには、自然とのふれ合いが不可欠であることも知る。

そのようなことを意識的に取り組もうとするのが「コミュニティガーデン」だ。まちをみんなの庭を見立てる市民活動で、この「まちの庭」をどんどん増やしたり、個人庭を期間限定で開放するオープンガーデンや、「グリーンキーパー」「グリーンサム」と呼ばれるリーダーグループをつくるといった方法がとられる。コミュニティガーデンは欧米各地で広がりをみせているが、そこでは「人と自然」「人と人」そして「人と地域」のつながりが重視される。従来型の「花いっぱい運動」とは明らかに次元の違う世界である。

私たちがまちづくりの中でコミュニティガーデンのアドバイスにあたるときは、ガーデニングの歴史やスタイルの系列、年月をかけて育てていく植栽の方法、地域の風土との関係、まちなみとの調和を考えたデザインなどを語り合うことから始める。

一時的にまちを飾りつけるということと、まちづくりは縁の遠いこと。まちづくりは、そこに生活する人たちがどのようにまちに関わっていくのか、そして一人ひとりの行動が、人とまちを持続的に変えることとどうつながるのかという視点で捉えるべきである。長野県・小布施や神戸・トアロード、新開地では、現にそれが実践されている。

よそのまちでまちづくりが上手くいっていると聞いて、形だけ真似てみるという動きが多すぎるのではないだろうか。よそから学ぶことは大切だが、理念と方法をしっかり見極める洞察力をもってあたらないと、まちを継続して連鎖的に変えていく動きにはならない。

  

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