COM計画研究所は、道路から広場、建築、そして自然と文化等を一体として捉え、生活環境として、住民の手によるまちづくりとして育むことをめざしています。

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2016.5.9

【コラム3】進化するまちづくり―タウンマネジメント

カテゴリー:COMからのお知らせ, まちづくりフロンティア

コミュニティガーデンも、さらに進化しなければと思うことがある。実際にやってみると、そのまちに良いガーデニングショップがない場合、質の良い鉢や土さえ手に入らない。ホームセンターに行けばひと通り揃うが、そのまちらしい花と緑の環境づくりが画一化の最前線となりかねない。何より地域経済とはかけ離れた取り組みに終わりかねない。

そこで、農家がその地域に合った良い草花の苗をつくり、商店街では生活者との間をつなぐガーデニングショップをつくる。まちのガーデナーたちはそれら材料を使いこなして腕を上げ、上質のハーブやベリー類が収穫でき、お菓子やジャム、オーガニックティバックなどがつくられ特産品化につながる。まちのカフェでは、それらを使ったメニューが目玉となる。そんな展開となれば、雇用創出にもつながり、経済の循環がまちのなかに出来ていく。

そんなにうまく事が運ぶのか、と思われるかもしれない。
しかし、自分のまちで仕事の選択肢がどんどん増えていくことと、経済活動のネットワークが形成されていくことこそ、まちづくりの基盤ではないか。何としてもその領域に達することをめざし、そのためのアクションを起こさなければならない。

どうすればそれが可能となり、現実となるのか。そのキーワードがタウンマネジメントだと考える。プランを描いているだけでは、地域経済に迫るまちづくりにつながらない。まちをトータルに管理する機能が必要なのである。長浜をはじめ兵庫県の篠山・柏原・出石などでは第三セクターがその役割を果たしているし、新開地ではユニークなまちづくりNPO、湯布院では観光総合事務所がそのポジションにある。

もともとまちづくりは単一のプロジェクトではない。イベントがあり、ホスピタリティがある。道や広場の整備があり、ショップや住まいの建設がある。公共でやること、民間でやること、公民協働でやることがある。それらソフト・ハードをおり混ぜ、何を、いつ、誰が、どのように計画し、実行するのかということをしっかり企画・調整する機能があってはじめて効果をあげることができる。

すでに欧米の都市開発、特にヨーロッパの小都市ではTMO(タウンマネジメント機関)が重要な役割を発揮して、驚くべき成果をおさめている。TMOは民間のシンクタンク・プロデュース機関であったり、住民や企業、行政が共同出資する「まちづくり会社」の形をとることもある。行政との協働スタンスをとる「まちづくりNPO」の場合も多い。それらTMOがリーダーシップをとり、疲弊したオールドタウンが見事魅力あふれる姿に変身して、人が集まり、住み、元気を取り戻しているのだ。
まちぐるみでしっかりと管理されている都市と、そうではなく放置されている都市では大きな差が生まれている。

人が増え続け、モノがあふれ続ける時代は終わった。
何もしないでモノマネだけですませている都市や地域が、元気よく生き続けられるとは思えない。まちをマネジメントする、そしてそのための人と組織、仕組みを、それぞれの地域が工夫し、つくりあげていくプロセスのなかにこそ希望が見出せるものと思う。


※さらに詳しい内容は、全国各地のまちづくりのフロンティアたちと当社代表高田の対談をまとめた
まちづくりフロンティア』(オール関西 2005年)をぜひご覧下さい。

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